日々の雑感

忍びの里、伊賀の地より。オーガニックとは? 「本物」はどこに?

出版のお知らせ

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シリーズ・いま日本の「農」を問う4

  環境と共生する「農」

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        ミネルヴァ書房

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食と農業問題を考える時、
その根底にすえるべきは、
「経済問題」ではなく、まず
「いのちと文化」の問題であると考え直すこと…
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そんな企画骨子に基づいて、多様な切り口から
日本の農業の現状について解説を試みる、
京都のミネルヴァ書房
【いま日本の「農」を問う】シリーズの
第4巻が4月15日に出版されます。

僕は第3章「未来のために必要なこと」
の執筆を担当させて頂きました。
以前に告知させていただいてからも
少し時間が経ってしまいましたが、
ようやく出版の運びになりました。
(既にamazonでも予約可能です。)

僕の担当分の主な内容は下記のようなものです。

★農業を始めた経緯と新規就農の実際のプロセス
★伊賀ベジタブルファーム㈱の経営理念と実際
★「有機」の意味を客観的にとらえなおす(化成肥料や農薬のこと)
★農業者連携へ向けた取り組み事例(伊有協)の紹介

対象読者としては、就農を考えている人や
有機栽培系でスタートして悩みを抱える若手農業者、
企業化・または連携を目指す農業生産事業体、
農業周辺の様々な仕事をされている方、
などを意識し、僕自身の生の体験や考えを
シェアしてもらえるように書きました。

「農」の世界に進むことを決めて以来10年足らず、
やみくもに走り続けるなかで、ある一定のレベルまで
整理できた事柄を書き出す作業は、
自分にとって非常に意義があるものでした。
そこで得た知見・ノウハウらしきものを
ここでひとつの「基本」として
皆さんに確認・共有してもらう、
そんな役割を担うことはできるかな、と思います。

不透明感が増す今の世界情勢のなか、
これからの時代のあり様を見通しつつ、
ビジネスとしての農の可能性、地域社会の存続、
個と共同体の行方、次代を貫く倫理のあり方、
そんなテーマを胸に抱いている方が、
何らかのヒントを得るきっかけに
なってくれれば幸いです。

最近FBで書いている即興の荒っぽい文章より
いくらか丁寧で読みやすいものになっていると
思いますので、あまり恐がずに手にとってみてくださいw。

以下は本文のテイストを知ってもらえるよう、
参考まで本文より一部抜粋します。

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(就農に至るまで考えていたこと…)

大切なのは自分の存在を超えたシステム全体の
動きに身を委ねる感覚をもてるかどうかだ。

細胞が集まって一つの個体を構成するように。

個人が集まって社会を為すように。

生物が空気や水と相まって
生態系や環境を形作るように。

自分とそれを包括する「全体」が表裏一体、
常に連動していると感じられるかどうか。

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(独立就農できたときに思ったこと…)

自立とは孤立ではない。

自らの足で立つために全力を尽くすうちに、
ふと気づけば周囲から手が差し伸べられ、
想いが全方位へとつながっていく。

自分の生存と安全を守るための
「自給自足」ではなく、
雨風に打たれながらも頭を上げて
立って歩くバランス感覚。

私にとって、それが自立の意味であった。

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(伊賀ベジの紹介~農業という仕事)

伊賀ベジのように後発で、都会から移ってきた
若い人間ばかりで構成されたチームはハンデだらけ。

インターネット等を駆使して世の新しい技術を
どんどん取り込み、就農以前に培った人脈を通じて
独自の販路を開拓するなど、周りとは違った
動きをしなければ生き残れない。

ぶら下がろうという意識で入ってくる
スタッフを抱える余裕は無い。

何よりも「いい」仕事をしたいという
想いを共有できるかどうか。

一人一人が独立就農するのと同じくらいの緊張感を保ち、
潜在するリスクを敏感に肌で感じとって
主体的に動くことができなければ、
利益を上げるなどとても覚束ない。

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(有機農業の技術について想うこと)

農産物の品質を左右するのは、
化成肥料か有機肥料かというより、
それを作る農業者の技術レベルの影響がずっと大きい。

それでも、あえて個人的な印象を言えば、
有機栽培の場合には美味しいものに
出会う確率が高い気がする。

農薬を使えない状況では肥料バランスを
保つことが決定的に重要になるため、
植物に応じた最適施肥を心がける
生産者が多いからではないだろうか。

 

ミネルヴァ書房の紹介

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