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日々の雑感

忍びの里、伊賀の地より。オーガニックとは? 「本物」はどこに?

どっちへ行くか? 今見据えているもの

一昨日、伊賀有機農業推進協議会の理事会。
いつものことながら夜も更けゆくまで。
日程調整ができず参加者はいつもより少なめだったが、
本質的で濃い議論ができたのではないか。

数年に渡ってこうして共に歩いてきてくれた
仲間たち、戦友に感謝。

活動が大きなターニングポイントを迎えるなか、
この組織・運動のこれまでの変遷を振り返りつつ、
今後の存在意義、これからどこへ行くのか
を改めて自分なりに問い直し、整理してみる。

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設立当初は年齢層の高めの市民運動っぽい人が中心で
それぞれが理念とか理想とかを言いたい放題言いあって、
ただ「なんかやった」感を得るための集まりっぽかった。

僕自身はそういうのはあまり好きではないし、
時間の無駄と感じたので積極的には関わらなかったのだが、
その後、国(農水省)の補助事業を導入したことで
有機農産物の生産と販売を推進する、
6カ年に渡る本格的なプログラムの運営をすることになった。

基礎をしっかり押さえ、先端技術を取り込みつつ
生産者の技術レベルアップをはかり、
販売・物流戦略を構築し、多様な人材をしっかり育てていく、
僕は官僚の描いたその戦略には共感を覚え、
腹を決めて生産者連中に対して働きかけを進めていった。

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ロジカルで分かりやすいマスタープランが示されているとき、
具体的な戦術は立ちやすいし、すぐに動ける。
小田原評定を繰り返すよりも思いつくことをひたすらアクションへ。

書類作成や会計処理のことなどお役所の慣習を学んで体裁を整えつつ、
地域の有機農業の底上げに必要なことを次々と進めてきた。
最初はもっぱら技術交流会や勉強会、やがては販売力の強化へ。

継続的な活動の結果として得られたものを整理すると、
なかでも重要なものは

○基礎生産技術ノウハウについては底上げされかなり高いレベルに。
 (実践できているかがまだまだ怪しいが。)
○バラバラだった生産者らが互いに顔見知りに。
 (様々な協力関係が自然発生的に生まれた)
○会員出資により地域の有機農業者らの商社・流通組織
 「へんこ」を設立するに至った。
○地域内外での認知向上、政治的存在感を大きく向上させた


などだろうか。

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3年前、ひとつの大きな変極点があった。
伊賀には西日本最大級の最終処分場があるのだが、
三重県が主導する形で、東北の放射性物質を含む
がれきの運び込みが行われることになった。
地域の中では世論を2分する感情的な論争がおこり、
中でも急進的な反対派を多く抱えるオーガニック関係者の
なかからは伊有協がこの問題に政治的にコミットすべきだ、
という強い圧力がかけられた。

行政関係者を構成員に含む組織として、
また長い目で本当にオーガニックを地域に広めるという
ミッションを捉えた際のそのことの政治的意味を考えて、
事務局としては苦悩のなかに置かれた。

僕にとって、それは国の補助事業を続けるのか、やめるのか、
ということと直結していることでもあった。
行政の補完機能を担い続けるべきか、
政治的ポジションをはっきり打ち出して、
「運動」としての位置を明確にするのか。

処分場からごく近いところで営農する僕らとしては
風評被害レベルとしても、この影響については
大きな不安の源でもあった。
震災後、東北や北関東の人たちが飲んだ泥水に比べれば、
実際に起こる現象としては本当に些細なことかもしれないが、
逆にそれゆえ、この問題が純政治的なものとなったことが、
大変に印象深い事件だったのだ。

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多くの場合、こうした命の安全に関わる脅威について、
女性はヒステリックなまでの強硬反対を唱え、
男性は現象を冷静に見ること、秩序の保持を訴える、
そういう傾向があったのだが、
これが激しい感情を呼び起こすバトルになった。


この出来事が僕に与えたインパクトは非常に大きい。
「オーガニック」とは一体何なんだろう?

自分自身のいのちとくらしを頑なに守り続ける、
そのことに大きな価値を置くと同時に、
社会で共に生きる人や生態系・環境とのつながり、
自分が所属するより大きなシステムを意識し続けること。

その深く激しい矛盾を橋渡しすること、
個と全体をつなぎとめる、あるいは、
男と女の対立そのものをまるごとつなぎとめる、
そのための知恵こそが「オーガニック」の真髄なのではないか、
そんなことを考える端緒となった出来事であった。

そしてまた、政治・行政のあり方に対して、
議員や首長の「選挙」という
極めて安易で矮小化された手段に頼り切らず、
ひとりひとりが自分の暮らしと尊厳に関わる
たいせつな政治的判断を絶えず意識して、
情報収集し、学び続けることの重要性を知った。

地域社会が本当によいものになるためには、
大事なことを「他人任せ」にしてはいけない。
選挙で用事が済んだ、と思ってはいけない、ということ。
社会は僕らの日々の行動の鏡だ。

都市では見えにくい・感じにくいことが、
小さな地域社会に足を置くからこそ見える、
「自治」の可能性を感じることができるのだ。
ローカルだからこそできること。

Think Globally Act Locally

きれいごとぬき。
「実践へ」
そんな想いを深く深く刻む時のつらなりだった。

 

震災がれき受入に関する伊有協指針 - 伊賀有機農業推進協議会

 

www.facebook.com


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昨年から意識的にはじめた動き。

例えば伊賀オーガニックフェスタの新しい展開。
地域社会とオーガニック系のひとたちをつなぎ、
何ごとかが発火するのを待つ。

伊賀オーガニックフェスタ - 伊賀有機農業推進協議会


「株式会社へんこ」を設立して以降、
伊賀地域の有機農業、あるいは「こころある」生産者が
生き残っていくために必要な、
ビジネス・インフラ、足回り強化を目指してきた。

そのことについてはまた詳細に書いていくが、
要点は生産物・技術情報、販売情報、物流情報、
あるいは食べ物にまつわるストーリーなど
様々な情報をきちんと管理・把握すること、
に尽きるかもしれない。

そしてそうした情報をフル活用して、
僕らの暮らしのリアルを担うための
「こころある」人材の育成を続けること。
「こころある」つながりを産み続けること。
それはそのこと自体、目的であり、手段でもある。

このビジネスを実際にはじめ、
やっていくうちに感じたこと、それは、
ひととして真に大切なものを認識し、
ぶれずに進んでいくための
「こころ」を育てる部分(芯・縦糸)と
その存続と発展を支えるために必要な、
リアルなディテール(読み書きそろばん・技術や知識)を
育てる部分(横糸)とが、
足並みそろえていかなければならないこと。


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「へんこ」という組織はその基本性質上、
横糸(テクノロジー)の充実を図るために生まれた。
ここでは縦糸(理念)がしっかり存在している
ことが前提となっている。
つまり我が道をしっかり歩くことができる
【へんこ】達が伊賀に生息しているからこそ成立する。

【へんこ】は自立した人間だ。
普通の世の中からはとっても「変わり者」に見える。
定義上からもはっきりしていることだが、
人の言うことを素直に聞いて動く人ではないので、
残念ながら簡単に彼らを育ててつくることはできない。

まさに「わがままに」「勝手に」出現するのだ。

僕らにできることはそうした【へんこ】が
出現する確率をできるかぎり上げること。
そしてそれを効率よく集めて捕獲する(つながる)こと。
そこにテクノロジーが介入する余地がある。

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株式会社へんこは、言いかたは悪いが、
【へんこ】をうまく宥めて飼いならし、
そのエキスを売って回る女衒のようなもの。

それに対して伊有協は【へんこ】を生み出すための
インキュベーター・ホームベースの役割を
はたしていくのだろう。
そういうことを実現するために最も効率のよい方法とは?
運営の仕方、情報共有の仕方、イベントの組み方、
色々見直さなきゃいけないことがある。

僕がパンクしたことにより、
この運動を中央制御室で、
トップダウンでまわすことは
不可能なことが既に十分わかってきた。


僕はきっと、有能な官僚になれても、
皆に人気のニコニコ笑顔の芸能人ばりの
ファシリテーターにはなれん。

パンクしますた。
国に言われる通りの事業を進めるの
もう肉体的精神的に限界です。
やーめた、しました。
(僕はへんこの経営に集中。)

だから、皆で勝手にやって、って話。

でも、どうやって?

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自発的運動がおこるためには
それぞれがやっている活動を上手くつなぐための
フラットな情報共有の仕組み(LineやSNSなど)、
心に伝わる写真や言葉を生み出せるクリエーターの存在、
美味しくて楽しい「みんなの」多様なイベント、
頭の固い行政を「ふにゃ」化させるテクノロジ―、
などが求められるだろう。

結局最後はひと、かな。

いやぁ、伊有協面白い、
おれも噛ませろ、

アドレナリンが出したら、
金も飯もいらん、楽しいことやらせろ~、

っていうクレージーな人が転がってたら
自薦他薦問いませんので、
事務局まで通報してください。

はい。