「意識の高さ」はフィードバックループの数で定義できる。
野心的・革新的なアイディアだ。
とってもシンプルで分かりやすい。
素粒子物理学者のミチオ・カクが提唱したという。
「意識(consciousness)」の高さを
フィードバック機構(ループ)の数によって定義する。
昨日、友人がコメントのなかでくれたヒント・アドバイスが
あまりにもツボをついていたので
その意味するところを水平展開するとともに、
現実場面での実装について想いをめぐらしている。
今、農業現場での持続可能な組織づくりを模索するなか、
伊賀ベジの新しい人事評価制度をつくっているのだが、
場合によっては重要な評価項目になるかもしれない。
具体的な計量方法について考えてみる…。
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フィードバックというのは「自己回帰構造」のこと。
ある変化(反応・行動)によって引き起こされた結果が
同様の変化が再び起こる際の結果に影響を与えることだ。
反復、繰り返しのなかで、振り子のように全く同じことが
起こるのではなくて、何らかの形で結果が次回に反映され、
システムの維持、進化につながっていくこと。
機械や化学反応の制御、生命の恒常性保持、経営におけるPDCA
等の場面で当り前のように親しまれている現象であり、考え方だ。
例えば僕が以前関わっていた、
都市ガスを水素に変える改質反応プロセスの制御では、
バーナーから出るガスの量を変える(行動)ことで
反応炉の中の温度(結果)を制御していく。
温度が高くなればガスの量をしぼる、
温度が下がればガスの量を増やす、
この加減をしっかり調整すれば、
温度をほぼ一定に保つことができる。
(収束フィードバック)
生命体においては、こうした制御機構が
ありとあらゆるところに張り巡らされていて、
生命の維持が図られている。
これを「恒常性(ホメオスタシス)」という。
企業経営においては、
ただ毎日同じことを繰り返すのは禁忌で
出てきた結果を次回に反映して
改善を繰り返すことが善しとされる。
Plan(計画・行動指針)を立て、
Do(計画の実行)し、
Check(結果を自覚)したのち、
Action(改善行動)をとる。
PDCAサイクルというやつだ。
これがまさにフィードバックループそのもの。
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結果が良かれ悪しかれ、
それを分析するなかで得られた次回への学びが
確実に次のPlan~Doに生かされるよう絶えず心がける。
組織としてはそのことが何をおいても最重要。
極端なことを言えば、
今すぐ良い結果がでるかどうかなどどうでもいい。
この機構がきちんと機能していれば
システムは維持されるし、
遅かれ早かれ結果は確実に出るものだ。
何より大切なのは、
成功であれ、失敗であれ、
データをできるかぎり沢山拾い上げて、
それを冷徹に見つめて分析をし尽くし、
それを漏れなく意識しながら
次のサイクルの計画をつくりこむこと。
日々の業務、月単位、年単位、
大小さまざまなPDCAループができあがる。
担当者ごと、テーマごと。
計画は予期せぬ出来事に依り絶えず変更される。
その都度、PDCAループが組み直され、
しなやかに対応していけるかどうか。
それが「生産」という現象の心臓部にある。
農業はもっとも基本的な生産活動だ。
自然や人による揺動が最もシビアなジャンルでもある。
ここでしっかりした「生産」を行うためには
他領域に比べてはるかに高い経営センス
(すなわちフィードバック・ループの生成能力)が
要求されることは想像を待たない。
ここで踏ん張れば、社会全体の未来が見える。
僕は実はそんなことを思っている。