日々の雑感

忍びの里、伊賀の地より。オーガニックとは? 「本物」はどこに?

技術を支える知識

昨晩の夜は今期から新しく始めた、

伊賀ベジタブルファームの社内研修第2回。

 

農業のために必要な物理っぽいこと、工学っぽいことを

エネルギーを軸にしながらザッとさらってみる。

そのストック(ポテンシャル)とフロー(形態変換)を

イメージできるようになれば色々潰しがきく。

 

例えば、潅水システムを使用するうえで欠かせない、

水の圧力と流量・流速との関係。

ポンプの性能の選定は?配管の設置は?

バルブの開閉はいつどのくらい?

どうすれば均一に水が飛ぶようにできるだろうか?

 

「圧力」という形で蓄えられたエネルギーが

しだいに「流れ」に形を変えていく様子をイメージしてみる。

 

水分子の旅を想像する。

号砲が鳴るまでスタートラインの後ろにひしめき

おしあいへしあいながら時をまつランナーの集団。

スタートの合図とともに一斉に走り出し、

エネルギーがつきるまで走り続ける。

 

水や熱の流れ、電気のこと、エンジンの回転、

はたまた台風の動きや雨がどうして降り出すか。

 

農業生産をきちんとできるかどうか、を考えるとき、

こうした理屈を知っているのと何も知らないのとでは、

その差はあまりに大きい。

最先端のテクノロジーを導入した植物工場だろうが、

もっともクラシックな形の自然農法だろうが、

自然の理を知らぬことには、何事も為すことができないから。

  

運悪く雨が降ってきたから?

たまたまポンプが壊れちゃったから?

よくわかんないけど電線が焦げた?

気付いたら枯れちゃってた、てへ?

 

学べ、学べ。

数多くの先人たちが積み上げてきたものを。

 

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現実を正面から見ず、向こうの事情を想像だにせずに、

自分の小さな料簡を押しつけるのは、勘弁勘弁だ。

学ばぬ人間は世界にとって害悪たりうる。

ちっぽけな自分の想いやイデオロギーを投影して

分かったふりをするのは愚かなことだ。

 

それでも残念なことに、現実には、

人間ってのはそういうことを延々と繰り返してしまう。

誰しも。あなたも、わたしも。

 

確かに、先人たちの創り上げた世界観や知恵を

さらに深化させ、より優れたものにしていくためには、

そうして「我」を通すことが必要な場面が間違いなくある。

 

ただ、謙虚さを失った我には、時と空間を超えるような、

本当に値打ちのあるものを産み出すだけの力はない。

断言したっていい。

 

だからこそ、僕らは自ら学び、教え続けるのだと思う。

自分は知らぬことがたくさんあるなぁ、と常に思えるか?

気付かぬうちに傲慢さの井戸の中で胡坐をかいていないか?

 

知はそこここに隠れている。

出歩け。

出会い、学べ。

新しいものとの遭遇にもっとワクワクしよう。

 

本気で学び続けるときにこそ、

ちっぽけな自分を生きる喜びが

真に輝きだすのではないか?

 

チャンスを。もっとチャンスを。

 

誰かスゴイ人が独占する知ではなくて、

誰しもが、ひとりひとり、老いも若きも、

一生をかけて学び続けることができる、

仕事のなかの、暮らしのなかの、

学びのかたちをつくりたい。

 

先人達が命を張って守り育て続けてきた

この知恵の輝きを

僕らの怠惰さゆえに

消滅させるわけにはいかない。

 

そのためにも、僕らは走る。 

 

 

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