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日々の雑感

忍びの里、伊賀の地より。オーガニックとは? 「本物」はどこに?

【参入】の意味と意義 … 農業への vs 農業からの

しばらくのあいだ、ブログ更新をさぼってしまいました。

 

月末あたりから数多くの人との出会い、

予期せぬ出来事(良いことも悪いことも)、

それに伴う心の揺動、そして気付き、

それらが途切れることなく波状にやってきて、

なかなか自分を御しきれぬまま、日々を過ごしています。

 

本来ならひとつひとつのこと、ひとりひとりの人に

もっと丁寧に心を配って生きていたいものですが、

身の回りの現実はどんどん動いていくので、

そこに喰らいついていくので精一杯みたいです…。

  

日頃からお付き合いを頂いている方々には、

力及ばぬことばかりで、色々とご迷惑をおかけしています。

そんななかでも、ともに歩き、また応援してくれる人たちに

勇気を分けてもらって、何とか持ちこたえています。

そんな皆さまに改めて感謝の気持ちを伝えたい。

 

国の内外で飛び交うニュース。

揺らぐ世界。何だかきな臭いことも、ね。

ギリシアのことやら安保体制のことやら。

容易に解を見いだせる時代ではないのでしょう。

 

放っておけば分裂し、散逸していく…

そんな世界の「カオス」をありのままに見つめながら、

そこに必要最小限の統合と秩序(愛・こころ・いのち)を

与えつづけるのが僕らの仕事、と割り切って、

淡々とやっていくしかないのかな、と思っています。

 

分裂を越え、統合を産みだしていくためには、

誰もが納得し、共有できるような「大きな物語」を探しても、

それはきっともう見つからないでしょう。

単純な「力」、直線的なロジックは通用しない。

表面的なこと、つくりものでは話にならない。

 

全く異なる様相の層(レイヤー)を重ね合わせながら

浮かび上がってくるマンダラを眺め、ポリフォニーを聴く。

みんなちがって、みんないい

きれいごとじゃなくて、本音でそれを言えるかどうか。

 

そのためにできること、それはただ自分の成長を促すことのみ。

自分の芯を見失わず、異物をも受け入れられるよう

存在の幅を広げていくこと。

 

あるがままの自分という存在を真っ直ぐ受け止め、

あちこちにぶれる心身や思考を何とか御しながら、

足下のことを疎かにせず、あきらめず、高ぶらず、

雨風に吹かれても心で笑って、日々をコツコツ、

そんな風に歩いていけるよう、

まだまだ精進するしかないのでしょうね。

 

無駄な力がはいったり、

やるべきときにやるべきことができなかったり、

踏ん張るところと、息を抜くところと、

どう使い分けていけば、自分が、そして皆が、

もっと幸せになれるのかなぁ?

 

今日を味わい尽くし、また明日へ。

 

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さて、今日は僕が今進めている仕事について、

やや遠い目から整理してみようかな、と思います。

 

脱サラ後、農業を始めようと思い立ってから10年強。

実際に自分が就農し、有機栽培による野菜づくりの事業を

スタートしてから、まもなく8年になります。

農場は3年前に法人化し、現在は社員3人、パート3人で運営しています。

 

kmurayama.hateblo.jp

 

率直なところ、儲かっていません。

っていうか設立から3期連続でそれなりに赤字です。

単期・単体の収支にフォーカスするなら

経営者としてお恥ずかしい状況です。

背景にはいくつかの要因があります。

経営的にみてネックとなる要因はやはり人件費&教育費です。

 

自分がフルに現場でやっていた個人事業のときは、

儲かったとはとてもいいがたいですが、

まぁ食っていけるレベルにはなってました。

もっとも、5年間休みはほとんどないし、

一般的な社会常識からすればブラックそのもの、

というような働き方でしたけどね…。

 

法人化してからというもの、これまで以上に背伸びして、

従業員の待遇(給与面・育成面)を少しでも他産業並に近づけよう、

とするなかで、様々な課題が次々と降ってきます。

他産業でも通用するような「ちゃんとした」人材を採用し

育てていくにはどうしたらよいか?

色々トライはしてますが、これで収支合わすのは簡単じゃない。

 

(教育関係では例えばこんなトライをしています。参考まで。) 

kmurayama.hateblo.jp

 

kmurayama.hateblo.jp

 

 

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ちなみに前提としてまず理解しておくべきは、

農業というのは幾多の淘汰のプロセスを経てきた成熟産業であって、

歴戦の腕利き・ベテランたちがひしめくただ中に参入し、

そう簡単にブレイクスルーしよう、ってのは甘いということ。

プロフェッショナルはどこでもプロフェッショナル。

医者やパイロットに簡単になれないように、農業者にも簡単にはなれない。

伝統工芸の担い手になったり、ミュージシャンになるっていうのも

きっと一緒のことだと思います。

 

ハードな生活、それはもともと自分で望んで始めたものだし、

己を鍛えるという意味では非常に有意義な時間だったと思うのです。

ただ、そうした僕個人がどう生きるかという問題と、

僕らの「農」と「食」を支える社会の基盤産業のこれからを

どうデザインしていくかという問題は全く別ですね。

  

この業界、他の産業と同じレベルで考えたとき、

御世辞にも「フェア」とは言えない部分は多々あります。

いろいろややこしく入り組み、ねじれている、っていうか。

 

土地所有者=農業者という階級的な位置づけ、

政治操作のために五月雨的・恣意的にばらまかれる補助金、

(政策的な意図がしっかりしたものもありますが…)

仮に明確な政策があってもそれを理解し使いこなせるだけの

人材を確保できない末端の地方行政機構

(民間なら中間管理職&研究職の部分を公が担っている)、

小規模・ローカルゆえに情報遮断が起こりやすく、

販売先との力関係が固定的なものになりやすい農家、

などなど、まともにやっていても疲弊してしまう構造、

そこら中にありますね。これでいいのかなぁ、と。

 

法人化して、「社会的公器」としての役割を意識して、

あえて株式会社という形態をとったことにより、

様々な矛盾はより一層強く感じられるようになってきました。

 

いや、でも現実にちゃんとやってる農業者・農業経営者はいるじゃないか。

そうなんです。農業で生き残ってきた人にはスゴイ人が一杯いる。

でもそのことを取り上げて、だから一人一人が皆そうなれよ、

っていうのにも無理があるように思います。

 

僕が思うのは、ポジティブにしても、ネガティブにしても

農業を「農業」のなかに閉じ込めるのはもうやめませんか?

ってことなんです。階級みたいに扱うのはもうやめよう。

肩に力入り過ぎ。

「農業」を何とかしようとかいうのはナンセンスだと。

そこだけで完結した解なんか決して存在しないですよ~。

 

僕らの「食」をどうしていこうか、というなかで、

自然な形で、農・食を総合的に貫く仕組みを考え、

トータルで生産・供給システムをつくっていく。

それに際してはビジネスの流儀のほうが風通しがよい。

 

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っていうようなことで、農業への企業参入は、

良くも悪くも刺激をもたらしてくれるので注目しています。 

 

以下リンク先のセブンイレブンやローソンの参入に関する記事は、

論点がはっきりしていて分かりやすいです。

 

今回のセブンとローソンの農業への取組ですが、僕は一定の条件下において成功する可能性が高いと思っています。セブンとローソンといえば、コンビニの雄で、大きな流通と小売のマーケットを既に持っています。いわゆるバリューチェーンが構築されているってことです。で、ここにきて、農業への取組を加速化させている理由は「バリューチェーンの強化」を意味していると解釈できます。安定した量、安定した品質の農産物を安定した価格(先物取引)で仕入れることは、流通・小売業にとってメリットが大きいですし、コンビニのおにぎりに新たなストーリーが生まれることはお客様への訴求力を高める効果があると感じます。「食」を川上から川下まで手中に収めたら、そりゃ強いですよ。

ただ、先述した通り、成功には一定の条件が必要です。

それは、プロパー社員の給料をどう扱うかです。セブンを例に考えますと、セブンファームはホールディングスの傘下にあるわけですから、人事交流等はそれなりにあるかと思います。しかしながら、単体で考えれば、農業部門(農産物の生産)は流通・小売業部門に比べて利益率ははるかに低いはずです。なので、このギャップをどう埋めるかということがキーになります。もし、各部門が独立採算制で、求められる利益率が同じであれば、セブンファームは潰れるでしょうね。農場経営で日5万円なんて給料は捻出できませんから。逆に、農業~流通・小売業部門までを一体として捉え、このバリューチェーンが一つの業種であるとみなすことができれば、全体としての利益率は若干低くなるとしても、セブンファームのプロパー社員に日5万円の給料を支払える、つまり成功するでしょう。

 

ryo-kawano.hatenablog.com

 

まぁこういうことなんだと思います。

で、こうした動きを農業者側(川上側)からも

進めていけよ~、っていうのが「6次産業化」っていうことの

本質的な意味ですね。

 

伊賀には6次産業化の一番のお手本とされる

「もくもく手づくりファーム」さんがあります。

非常に洗練された手法で、「体験農場」や都市部の

「農場レストラン」などを直営して、

新しいマーケットを切り拓いた、業界の雄です。

伊賀の里モクモク手づくりファーム

 

ただ、彼らが現実に農の生産現場を支える仕組みを創出し、

また人材を育てていけたかと言うと、

僕らのような現場にいる人間からすれば物足りない感じです。

 

伊賀ベジではかつてモクモクさんが直営で運営していた畑を

多く引き継いでますし、取引先として野菜を販売しています。

だからそれなりに彼らの事業の変遷は眺めてきましたが、

気付けば採算の合う、サービス部門に特化していき、

生産現場はコスト的に見合わず撤収する、ということに

どうしてもなってしまった。これは人材育成とか

いろいろなことが絡んでいるのですが、

やはり生産現場を支え切るのって、なかなかに大変なのです。

 

本来こういうバリューチェーンを築いていくのに

一番よいポジションにいるのは農協さんだと思うんです。

というか、農協とか生協は本来そのためのネットワーク。

でも現実にはなかなか足回りの敏捷性が厳しいところが多いみたい。

 

そうしたいくつもの事例を横目に見ながら、

下流側へとどんぶらこ、と、進出する取り組みを

始めているのが今の僕の主な仕事なんですが

単独で行くか、連携ネットワークで行くかの違いとか、

そのあたりまだまだ説明を要しそうなので、

今日のところはこのあたりで。尻切れトンボですが …。

 

おやすみなさい。