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日々の雑感

忍びの里、伊賀の地より。オーガニックとは? 「本物」はどこに?

有機認証について思うこと

有機農産物認証に関わるPGS(参加型保証システム)についての
下記の記事に触発されていろいろ考えています。

有機農産物認証に、私たちも参加できるPGS(参加型保証システム)の試みがスタート! その① もう一つの有機認証の基本を学ぶ |

 

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有機認証の国際基準がつくられていった流れの中で、
最も源流にあるのは1982年にIFOAMが出した
有機農業の次の定義ではないでしょうか。

『有機農業は、土壌と生態系、そして人々の健康を持続させる生産システムである。有機農業は、地域の条件に適合した生態的なプロセス、生物多様性や循環を活用し、悪い影響を与える投入物を使用しない。有機農業は、関わるすべてのもののために伝統と革新と科学を組み合せ、共有している環境に利益をもたらし、公正な関係性とよい生活の質を促進する。』
http://organicgreen.blog.jp/archives/1013751394.html

この有機農業の理念に基づいて生産された農産物の
担保づけるために、JAS有機認証の大本(国際的な対応規格)の
CODEX規格がつくられました。
http://www.n-shokuei.jp/・・・/food_hygienic/codex/index.html

この規格自体はあくまで農産物を担保するための
最大公約数的なひとつの基準です。
ただ、これを決めるプロセスのなかで、
様々な既得権益者の思惑や、政治上、ビジネス上の力関係も
陰に陽に働いてきたのは間違いなく、
まぁ言ってみれば政治的妥協の産物、
と思ったほうが良いものかと思います。

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有機農業・有機農産物とは何か、という基準は必要です。
そのなかで、『』は言ってみれば
基本理念を示す「憲法」みたいなもの。
JAS有機やCODEXというのは、
個別の取り締まり法みたいな感じ。

憲法のほうが個別法規よりも
より幅広く、時間的に長い期間を捉えて
抽象的な用語で書かれています。

時代のながれのなかで、個別法規は
絶えず変わっていく必要があります。
現状でもすでに色々変えていく必要がある内容は多々あります。

例えば私が疑問を持っているのは
「化学」という言葉への異様な執着、
天然vs化学という「誤った」認識です。

化学的に合成されたものを使わなければ有機、
みたいなのは科学的にものを考えてきた人から見れば
生物反応もみな「化学」によるものですし、
ほとんどナンセンスな話だと思いますが、
こういうのがまかり通っている。

まぁそれもこれができたときの
時代の雰囲気を反映しているとは思いますが、
少なくとも「憲法」には
「化学」というような文字は入っていない。

そこにあるのは地域性に配慮しながら、
生物多様性や循環を促進する生産方法の実現だ。
その目的に近づくために、結果というよりはプロセス、
伝統と科学に基づいてよりよいものを目指す
という改善を志向しているように読めると思います。

そういう観点から見たとき、
国家によって担保された「静的な」認証システムよりも、
つくり手、買い手が絶えず学び合い、チェックしあう、
動的な2者間の認証のほうが、面倒くさいけれど、
「憲法」が示している方向には近いのではないか、と思うのです。

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ちなみにリンク先のサイトは
業界のなかではJAS有機を守る側のところですから
仕方ないと言えば仕方ないのですが、
JASは厳守しながらのPGSという話をしています。
それであれば満田さんがおっしゃたように、
確かに「意味不明」だと僕は思います。

有機かどうか、ON/OFFにしてしまう
今の認証体系のような単純な議論には限界があります。

CODEX設置当時に比べて格段に進化してきた、
測定技術や自然理解の深まりを基に
基準は変わっていくべきでしょう。
既得権を持った業界としては
気の乗る話ではないでしょうが。

周囲の生態系や土壌の微生物多様性、
あるいはエネルギー資源のLCAを定量的に評価し、
農産物の生産過程についてスペック評価する、
そしてそれが環境やエネルギー面でプラスのものかどうか、
総合的に判断する過程が必要です。

そういうプロセスをちゃんとできているところに
認証を与えるというような、GAPの発想を取り入れた
新しい形に向かっていく必要があると思っています。

これはとても難しいチャレンジですが、
しっかりやりきれば確実に「イノベーション」になります。

そうしたテクニカルが担保された前提のうえで、
僕はやはり「PGS」には大きな可能性を感じています。
2者というのは結構幅広くてよいでしょう。
生産者と消費者というパターンに限らず、
農業法人と販売企業、
あるいはまったく異なる畑の企業のCSRとか、
いろんなパターン考えられる。

BtoCであればグリーンツーリズムや教育、
BtoBであれば生産技術開発やデリバリー網、
販売管理などまで様々なジャンルの連携がありえます。

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「農業」とか「有機農業」とかの枠に収まらず、
「食のイノベーション」という観点から捉えない限り、
このPGSの本当の価値は見えてこないでしょうね。