日々の雑感

忍びの里、伊賀の地より。オーガニックとは? 「本物」はどこに?

有機農業の日

12月8日は【有機農業の日】

 

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有機農業推進法が制定されて今年で10年。

制定日の12月8日を「記念日」として盛り上げながら、

オーガニック・エコな「農」や「食」のかたち・暮らしを

もっと世の中に浸透させていこう、という取組です。

 

 

それにしても、そもそも「有機農業」の価値って、

一体どこにあるのでしょうか?

 

現在日本では、有機農産物といえば、ざっくり、

【農薬、化学肥料、遺伝子組換技術を使用しない】

生産方法でつくられたもの、として理解されています。

だ・か・ら、「安全安心」で身体にも環境にも優しい、と。

 

でも、実はこれ、正確な理解とは言いがたいです。

農薬や化学肥料を使わないからといって、

安全である、環境に優しい、とは限らないからです。

このことは「農法」を変えて、

自然農法とか、無肥料栽培とか、

ナチュラル路線の農法であっても同じことです。

 

一見、有機農業の「定義」に見える部分は、

逆向きに理解したほうがよいかもしれません。

 

「有機農業」に本気で取り組む仲間たちは、

いつだって、 自然環境をまもり、

食べる人の健康を持続できるような

農業生産や流通のかたちを模索し続けてきました。

 

そのためにも、伝統と革新、科学の知識を総合して、

生き物の多様性や、自然の循環を活用できるよう

今も工夫を重ね続けています。

そうして自然の下での生産の日々を通じて

得られた学びや感動を、食べてもらう人に伝え、

互いに顔の見える関係を築いてきたのです。

 

そんな取組を続けてきた人達のなかで、

共通の基本的理解として存在してきたのが、

★農薬はなるべく使わないほうが

  周囲環境への影響が少ない

★地球の資源・エネルギー消費を減らすためにも

  化成肥料はあまり使わないほうがいい

という知恵であり、

それはそれでひとつの解ではあります。

でも、オーガニックな社会を目指すためには、

事態をあまり単純化しすぎて、固執しすぎることは、

心理的な壁になってしまうかもしれませんね。

 

農業はいのちを育み、いのちを奪う、そんな営みです。

だからこそ、僕らは「食べる」ことを通じて、

多様ないのちを尊重しあうことを

学べるのではないかな、と思うのです。

 

経済活動として、あるいは

自らが生きながらえるため、

いのちを単なる「手段」として使うのではなく、

人と人、人と自然の豊かな関係、

【つながり】を守り育てていくこと。

「オーガニック」の本質はそんなところにあるのかな。

 

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僕は、今度の「有機農業の日」プロジェクトが

ブランド化、差別化、自己主張の場とせず、

世代を超えて、性別を超えて、国籍を超えて、

多種多様な人たちが互いにつながるイベントが

全国各地で生まれていけばいいな、

と、 まぁナイーブに、そんなことを考えています。

多様ないのちの存在を受け止める

「オーガニック」の仲間たちだからこそ、ね。

 

今、本当に大切なことは、つくる人も、たべる人も、

「食べる」がいのちの連鎖だということを

実感する場をつくることではないのかなぁ?

 

世の中厳しいなぁ、世知辛いなぁ、と、

ポツンと、ひとりで生きている気がするときも、

「食べる」ことを通じて、

世界とつながってるなぁ、

って実感することが、

とっても大切なんだと思っています。

 

みんなで一緒にごはんをつくろう。

みんなで一緒にごはんを食べよう。

お百姓さんや牧場の人たちが

精根こめて育てた食材を使って。

 

心のこもった本当においしいご飯食べていて

本気で喧嘩するのって、案外難しいんですから。

 

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自然界に様々な生き物がいるのと全く同じで、

人間の社会にも様々な考え方の人たちがいます。

そのそれぞれがいのちを燃やして生きている。

その多様性を最大限尊重しながらも、

互いがつながりあい、共に生きていく方法を探し続ける。

 

12月8日の有機農業の日が、これから

そんな社会を推し進める、

小さな一歩になればいいな、

と思うのでした。

 

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(参考)<有機農業のめざすもの>

      BY 日本有機農業研究会

  【安全で質のよい食べ物の生産】

  【環境を守る】

  【自然との共生】

  【地域自給と循環】

  【地力の維持培養】

  【生物の多様性を守る】

  【健全な飼養環境の保障】

  【人権と公正な労働の保障】

  【生産者と消費者の提携】

  【農の価値を広め、生命尊重の社会を築く】