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日々の雑感

忍びの里、伊賀の地より。オーガニックとは? 「本物」はどこに?

僕のなかのアメリカ

米国の大統領選に関連したことをつらつらと考えるなかで、

アメリカに纏わる感情や思考が湧いてきた。

記憶に蘇り、駆け巡っていく残像。

消え去らないうちにざっとメモ。

コミュニティとは?
多様性とは?  
共感とは?  
時代を切り拓くとは?  
幸せとは?  
 
-------    
①留学していたときの南部の小さな町のコミュニティ   
僕がいたのはAlabama州にある、人口2-3万人程度の     
”Selma”という小さな町だ。   
古くは奴隷を沢山使った綿花のプランテーションで栄え、   
後に奴隷解放をテーマにして戦われた南北戦争の激戦地であり、   
マーチンルーサーキングが公民権運動で
決死の行進をしたことで有名だ。   
30年近く前、Kennedyが大統領だったとき、
僕の母はこの町に留学した。     
母の友人のつながりを頼って、
僕もここで一年間ホームステイさせてもらい、     
同い年のホストブラザーと一緒に、
白人黒人半々の公立高校に一年間通った。     
ホストファミリーは地域のエスタブリッシュメントに
属する家族(もちろん白人)。
週末は英国国教会系の聖公会の教会に毎週通い、
聖書を読み、讃美歌を歌う。      
子供たちは子供教室に参加して
社会道徳や人生の悩みについて語り、     
あるいはメンターに導かれながら、
個々の倫理を身につけていく。     
ときおり大自然の真っただ中のキャンプ場や別荘に行き、     
ギターを弾いたりして、それはそれは豊かな時間だった。     
暖かいコミュニティに護られ、支えられ、育てられていく     
感覚を僕はそこで学んだように思う。
 
②白人黒人闘争勃発の記憶     
しかし、僕の通った公立学校は大きな火種を抱えていた。     
まさにその年、町は初の黒人の教育長を迎え、     
町はいつもピリピリした空気が漂うようになっていた。     
始業式では、後に副大統領候補となった
黒人の精神的指導者ジェシー・ジャクソンが講演をし、
火を噴くような激励の言葉を投げかけていたのを覚えている。     
学校の授業はコースによって
大学と小学校ほどのレベルの差がある。   
もちろん、クラスのメンバー構成は
所得階層、人種などを色濃く反映する。     
そして、「それ」は起きてしまった。     
年の半分を終えたころ、
クラブ活動の遠征中の不祥事への処罰で、
白人の多いディベート部と黒人の多い陸上部で、待遇に差が出た。     
激しい紛争が巻き起こり、殴り合いも発生。     
お国柄、銃の携帯なども予想され、学校は閉鎖された。     
州軍が封鎖を解いた1週間後には、白人の大半は私学へ転校。     
僕はホストブラザーとともに、学年が終わるまでの残りの期間、     
黒がマジョリティになった学校に通い続けた。     
黄色い僕はただ意味も分からず、
ふわーっと浮いた感覚が残った。     
 
③バンクーバーと曽祖父のこと     
それから約12年後。
僕はカナダ・バンクーバーで燃料電池の開発の仕事をした。
彼の地は曽祖父が移住し、チャンバービジネスを起こし、
40人を超える人を雇って事業に育て上げた地。
でも太平洋戦争を機に全てを接収され、
無一文で帰国するはめになったという。
二宮金次郎生誕の地にある寺に預けられていた曽祖父は
相撲をとれば近隣で一番強かったといい、
日本に帰国してからは日本語は忘れた、
と嘯いて時折英語で話をしながら、
周辺をふらふらしてまわる変人だったという。
各地からの客人の絶えぬ家で、同居の5人の孫のなかで
唯一の男の子だった僕の父をとても可愛がった。
小田原から横浜のはずれまで馬に乗せて遠出をしたりして、
どうもやら世間さまとはだいぶ違った教育をしたようだ。
 
血。    
  
③北米企業に勤務する間に体感した多様性とビジネス上のヒエラルキー
バンクーバーのベンチャー企業のなかは、
米国やドイツの大手自動車メーカーとの  
共同開発プロジェクトをいくつもかかえ、
多国籍な環境であった。
日本からの駐在開発員・コーディネーターとして
滞在している間に、  エンジニアとテクノロジストと
テクニシャンといった職層ヒエラルキーの実態を学んだ。
学歴と、プレゼンテーション能力がほぼすべてを決める。
あとは政治的な位置。
いろんな国の人と一緒に仕事をした。     
インド、中国、フィリピン、イラン、ドイツ、韓国、マレーシア・・・     
職種構成はあきらかに、母国語や人種の違いを反映していた。
ドイツの大学院で物理を専攻していたイラン人の開発者が
肩身小さく、イオン膜の製作ラインに入りながら、
いつか意見を通してやる、と空しい足掻きを繰り返していたこと、
大連生まれで京大に留学したあとトヨタに就職し
パワステの開発をした電気屋さんが、  
ここでは英語がうまくないからといって、
簡単に首にされていったりする。
明日から来なくていいよ、の世界のドライさを眼前にした。     
でも、多様性の渦巻く職場は刺激的で緊張感があった。    
 
④アインランドとの出会い       
バンクーバーの同僚で僕が一番好きだったエンジニアは
バハマ生まれのどもりぐせのある人だったのだけど、
僕が会社を去る際、ウィスラーに一緒にスキーに行った帰りに
一冊の本をくれた。
彼が人生で一番影響を受けた本だと言っていた。
Ayn Randの"Fountainhead"(邦訳:「水源」)だった。
長大な本ではあったが、会社を辞めてバックパックを背負って、
中国やヨーロッパをウロウロするあいだ読み続けた。
そしてその後、彼女が書いた”AtlasShrugged”にも触れる。
世界には創造する人( Prime Mover )と、それを利用する人がいて、
その間には とてつもなく大きなギャップが存在している。  
力のある人間はそれに応じた報酬を得ていくべきだ、とする、
「リバタリアン」と呼ばれるハードでマッチョな哲学体系。
米国の知識人に聖書に次いで大きなインパクトを与えたという    
彼女の著作は圧倒的な力を持っていた。
僕の持っていたいくつも観念・イメージは打ち砕かれ、
アメリカという存在に少しだけ近づいたような気がした。
当時の日本にはそういう考え方はかなりレアだったけれど、
今ならもっと速やかに人のこころに沁みていくかもしれないな。 

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⑤Simon & Garfunkel の曲 ”America”

“Let us be lovers we’ll marry our fortunes together”
“I’ve got some real estate here in my bag”
So we bought a pack of cigarettes and Mrs. Wagner pies
 And we walked off to look for America
  
“Kathy,” I said as we boarded a Greyhound in Pittsburgh
 “Michigan seems like a dream to me now”
 It took me four days to hitchhike from Saginaw
 I’ve gone to look for America
 
 Laughing on the bus Playing games with the faces
 She said the man in the gabardine suit was a spy
 I said “Be careful his bowtie is really a camera”
 
“Toss me a cigarette, I think there’s one in my raincoat”
 “We smoked the last one an hour ago”
 So I looked at the scenery, she read her magazine
 And the moon rose over an open field
 
 “Kathy, I’m lost,” I said, though I knew she was sleeping
 I’m empty and aching and I don’t know why
 Counting the cars on the New Jersey Turnpike
 They’ve all gone to look for America
 All gone to look for America
 All gone to look for America  
 
アメリカ(America訳詞)
 
 「恋人同士でいさせて、ぼくたちは結婚してお互い幸せになるんだ」
 「少しだけどバッグの中にちゃんとした財産もあるよ」
 そう、タバコのパックとミセス・ワグナーのパイを買って そして、
 私たちはアメリカを探すために歩き出したんだ
 
 「キャシー」ピッツバーグでグレイハウンドに乗ったときに、
 ぼくは言った 「ミシガンは、ぼくには夢のように思えるよ」
 ぼくはサギノーからヒッチハイクして4日かかった
 ぼくがアメリカを探しに出て
 
 バスに乗って笑い いろんな面々とゲームして遊ぶ
 彼女はギャバジンのスーツを着た男はスパイだと言った
 私は「気を付けて、彼の蝶ネクタイは本当はカメラだ」と言った
  
「タバコをとって、ぼくのレインコートに1つあったと思うんだ」
 「最後の一本は1時間前に吸ってしまったわ」
 だからぼくは景色を見て、彼女は雑誌を読んだ
 そして、月が開らけた草原の上に昇った
  
「キャシー、ぼくは失くしてしまったんだ」
 彼女が寝むっていたのを知っていたのに、言ってみた
 ぼくは空虚で苦しいのに何故だか分からない
 ニュージャージーターンパイクで車を数える
 彼らはみんなアメリカを探しに出てきたんだ
 みんなアメリカを探しに出てきたんだ
 みんなアメリカを探しに出てきたんだ