(日本人)
国際的な価値観調査によれば、
日本人は世界で最も世俗的な国民だ。
日本人は世界の誰よりも、
「他人に迎合するよりも、自分らしくありたい」
「自分の人生の目標は自分で決めたい」
と考えている。
ご利益のない神を信じず、
地縁も血縁も捨てて
「一人一世帯」の無縁社会に生きている。
こうした特異な価値観を私たちは
当たり前のことと思っているが、
じつは日本人は歴史の最先端に
立っているのかもしれない。
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私たち日本人に残された希望は、
いまの世俗性を維持したまま
自由な自己表現のできる
社会をつくることにしかない。
これは矢印をそのまま右に向け
図の右上にある空白部分、すなわち
誰も見たこともない場所を目指すことだ。
そこは…いかなる超越者(絶対神)も信じない
徹底的に世俗的なひとびとによって構成される
誰もが自由に自己表現・自己実現できる社会のはずだ。
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すべてのローカルな共同体(伽藍)を
破壊することで国家をフレームワーク
(枠組み)だけにして、そこに退出の自由な
無数のグローバルな共同体を創造していく。
後期近代(再帰的近代)の終着点となる
その場所がユートピアへの入口だとするならば、
そこに最初に到達することが、
歴史が日本人に与えた使命なのだ。
―――以上引用(一部省略)―――
友人の勧めで橘玲の(日本人)を読了。
本書の発行は2012年5月ですが全く古びません。
現代の問題の構造と日本人の心性について
非常に高分解能で描かれていると感じました。
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同じく歴史の大局を見つめるフレームを
提供する知的チャレンジなのですが、
昨年末に読んだ佐藤航陽の「お金2.0」は
人類の可能性~テクノロジーへの信頼、
圧倒的な楽観に支えられているのが心地よく
一服の清涼剤のような感じでした。
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対して本書は日本人の「こころ」に関する
表層的な思い込みを丁寧に剥離して
建前に支えられた偽りの姿でない
本音の在り処に肉薄していくことで、
「もう嘘をつき続けなくていいんだ」
という解放感を与えてくれる感じですかね。
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僕自身の最近の思考フレームでいえば
「お金2.0」は【プロジェクト管理】
を支える基礎フレームを与えてくれるし
(日本人)は【ファシリテーション】を
より豊かにするための足場になりそう。
僕が今抱えている様々なプロジェクトにも
さっそく応用してみたいと思います。
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執筆した頃に書かれた著者のブログ↓
https://www.tachibana-akira.com/2012/05/4242