日々の雑感

忍びの里、伊賀の地より。オーガニックとは? 「本物」はどこに?

伊賀ベジの今 ~ この組織の存在意義って何? ~ 模索は続く。

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近況報告の続き。

 

今日は農業生産法人伊賀ベジタブルファーム㈱の現状について、
少し詳しく触れてみます。

現在社員が3名。
FBやブログでも紹介していますが、
「近藤」、「今泉」、「山田」
いずれも30代前半、在籍は1年強。
このほか、近くの奥様方3名にパートタイムで
パッキングなどを手伝ってもらっています。
僕自身は生産計画と進行状況のチェックはしていますが、
畑作業はもう2年半ほとんどしていません。

スタート当初は自分ひとりで全てやっていたものを
自立した組織として実行できる体制が
7年かけて徐々に整ってきました。
経営的にはまだ大変ですが、ここ最近になってようやく、
何とか目鼻がついてきた感じ。

でもこのプロセスは存外、頭だけでなく、
心もフルに使えなきゃいけないんだ、
ということを最近はつくづく感じるようになっています。

2年半の研修を経て独立就農したのが2007年秋。
まぁ「脱サラ就農・有機農業者」の王道を行くかたちで
ハウスを建て、トラクタの乗り方を覚えるところから始め、
まぁ日々、何から何まで、農業生産に関わる
ありとあらゆることをやってきました。
(実はこの時期が一番楽しいという説もある。)

半年後から友人がひとり合流してくれて、
以降は徐々に人を受け入れながら
「組織」としての形を整えてきました。

スタート時点から5年後くらいでの法人化を想定していたので、
組織づくりの流れは常に心がけてきましたが、
シビアな経営環境の中で、人と人の関わり方に関しては
よいこと悪いこと、本当にいろいろなことがありましたし、
絶えず学ばされてきました。
7年半で長期スタッフだけで15人以上、入っては出て。

 

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人を育てるのが先。生産は後からついてくるはず。
そう思ってやってきましたが、決してきれいごとばかりじゃない。
現実に食いぶちを稼がなきゃいけないことと、
ギリギリのところで守らなきゃいけない
「人間の尊厳」みたいなもの、このバランスをいかにとるか。


真正面から容赦なくぶつかり、
きゅうきゅうと締めつけるので、
正直かなり恐いボスを続けてきたと思います。

今のように現場から離れざるをえないようになると、
様々な場面で自分でやっていたときのレベルは保てず、
イライラする機会はぐーんと増える。
草ぼうぼう、水やり忘れる、経費のことを考えない、
トラクタのメンテしない、などなど・・・。
まぁそりゃ、1年目ばっかり3人ですからね。ドタバタ。
当然ちゃ当然なんだけど、そういう状況になっているのが辛い。
あーこのままだと潰れちゃう。
細かいんだけど大事だよ、みたいなところが
全然うまく伝えられなくて、もどかしいことも増える。


実は身体の調子をおかしくしてから、
このあたりに関して、前回エントリーで書いていた
「手放す」こと、「委任する」こと、
の感覚が少しずつ分かってきたように思うのです。

農家って自分が植物や土を触ってナンボっていうか、
身体的愛着感とかプライドを持っているから、
「自分がやってこそ」、という感覚が強いです。
そのあたりは自主自立の感覚の根幹を為すので、
大切にしたい部分ではあるのだけれど、
それが足かせになる場合もある、
っていうのが最近ふっきれて感じるようになったこと。

阿呆、農業者である前に人間やろ。

本当に大切なものは何だ?

 

「社長」していることについて、
実際にはまぁハードで損な役回りでしかないんだけど、
なんかちょっと良い身分みたいなので、
農家仲間に対して心苦しく思ったこともあったけど、
そこら辺でようやく開き直りができてきたのです。

 

妬み・嫉みを相手にしていたらやってられん。
農産物を売る人、運ぶ人、宣伝する人、
あるいは全体のプラン立てる人がいて
初めて生産現場が存続しうるんだ、ってことが
理解できない子供じみた生産者を相手にし続けても、
未来はない、ってことだからね。

 
僕は僕。僕の仕事は僕の仕事。

 

伊賀ベジでは3年ほど前から生産計画レベルのことや
売上や経費管理などについては僕がやっていましたが、
この半年のあいだに進めたのは、そのあたりも含めて、
僕が明日いなくなっても勝手にまわる組織につくりかえること。

 

それはつまり、スタッフひとりひとりが
伊賀ベジを本当に自分たちのものと
感じられるようにすることだった。
自分たちが残したいならこの組織を残せばいいし、
そうでないならポイッて捨てちゃえばいい。

 
そこまで割り切った。
もう、おれのもんじゃない。
ケツ吹きはするけど、もう、好きなようにせい。
ただし「全力で」やらなきゃだめだけど。

 

組織のあり方に関するブレスト会議を
何度も何度も繰り返して、僕らはどこへ行くの?
を問い続けてきた。

 

で、今、それなりに形になってきてみると
何というか、大人の「部活」みたいな感じ?になった。
ほんでもって僕は顧問の先生かなぁ。
それでいいんじゃないか、と。
まだまだ完成とは言えないけれど実感は出てきたんですよね。

 

今、僕がやるべきことは、
理念とビジョンの提供、
人を探してくること、つなぐこと、
そしてお金を集めてくること。

 

経営者の仕事ってつまりそういうことだ。

 

「へんこ」を通じて社会とのフックをつくり、
産み出した需要に対して、計画的な生産をする。
それが徐々に機能すればいいなぁ、と。
もちろん、伊賀ベジの現場感を食べる人に伝わることも大切。
うちのスタッフには農業技術も、
人に伝える技術も、両方が求められる。
そうでないと実際給料取れないんだから。

って、任せる、っていいながらも、
やっぱり要求はし続ける社長でした。

 

あ、そうだ、ちなみに仲間は常に募集しています。
有機農業の現場で、腕をふるいたい人、
こんな一見なげやりにも見えるような
先の見えない農場で働いてみませんか?

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