日々の雑感

忍びの里、伊賀の地より。オーガニックとは? 「本物」はどこに?

42歳になりまして

メッセージを頂いた皆さま、ありがとうございます。
お陰さまで昨日、ひとつ年齢を重ねて42歳になりました。

せっかくなので節目の振り返りを。

...

ちょうど10年前(2005)に農の世界に飛び込み、
ご縁を頂くなかで自分の農場を立ち上げのが2007年秋。
以来しばらくの間は、ただ土にまみれて、
よりよい野菜をつくり、しっかりした農場経営を
行っていくための学びと努力を続けてきました。

2010年の伊賀有機農業推進協議会の立ち上げや
その後の事業運営に次第に深く関わるうちに、
多様な人たちとの共存のしかたについて学びます。
伊賀の有機農業者にはかなりの変わり者が多いので、
芋洗いのようにこちらの皮も剥かれていきました。

そして2012年夏、東北から伊賀への放射性がれきの
持ち込み騒動、それに対する反対運動に巻き込まれて以来、
「我が身さえ良ければ」という姿勢に絶望的な限界を感じます。
現代における地域社会や、暮らしや食・農のありかた、
ひととひとが共存共栄していくための方法について
僕らにはまだ沢山の学びと知恵が必要であることを
痛いほど思い知らされました。
学びのプロセスは永遠に続くのでしょう。

ビジネス、政治、学問、芸術…現代の知の粋を集め
時間的、空間的に、可能なかぎり広い視野を確保し、
自分を楽にするために稼ぐのではなく、
よりよい世界をつくるために働く。
ひとりひとりが自然体でそんなふうになるためには
いったい僕はここで日々、何をしていけばよいだろう?

ここ数年は、できるかぎり外の世界に目を向けて、
手元にあるちっぽけなものを全て放り投げて、
ただ明るさを感じるほうへ、
やみくもに走り続けてきました。
なかでも昨年はまる一年を通じて
とにかくハードな日々が続きました。

でもそういう生活も、開き直って
楽しいと思えば楽しいもの。
ランナーズ・ハイってやつですね。
同じアホなら踊らにゃ損、損って。

後から振り返ってみれば、
そうして走ってきたからこそ、
沢山の素晴らしい出会いに恵まれ、
自分にとって本当に大切なものはなにか、
これから進むべき道はどっちか、
これまで生きてきたなかで、最もクリアに
確信を持って向かえるようになってきた
そんなふうに感じます。

今、農業生産法人と農業商社の二つの会社の経営、
そして地域の協議会の事務局の運営を託され、
正直言えば、アホ、こんな仕事できるか、
というくらい山盛りの出来事が次々と降ってきます。

農業を始めて以来、
基本的には何でもがっつり丸ごと引き受ける(最後まで結論を出す)、
というのをポリシーにしてきましたから
これは仕方がありません。
まぁ淡々とやれることをやっていくだけ、です。

冷静に長期的に考えて
必ず対応が迫られるであろう課題については
誰かがやらなしゃあない。だからやる。
そんな感覚しかありません。

近くに居る人ほど勘違いすることがあるけど、
僕にしかできない、なんてことは本当はなにもないんですよね。
やるべきことはやるべきこと。
あとは知恵を使って、皆がそれにとりくめるような
システムをコツコツと創り上げていくだけのことで。

自分にはできない(忙しい、めんどくさい、なんで自分が)、
だから仕方ない、というような言い訳が世を駄目にする。

それは明白すぎるくらい明白なこと。
でも自分が潰されてもいかん。
こころある人間は生き延びなければ。
潰されないためには、知恵を得ること、
世を渡る訓練を受けることが絶対必要です。

学べ、学べ、学べ。

今、僕に「夢」があるか?
と言われれば、ありますよ。
無茶と言われれば無茶な夢だけど。

世界がもっとクリエイティブになればいいなぁ。
世界をもっとよい世界にしようと、
ひとりひとりが夢を描き続けられるような
そんな空気をつくっていきたいなぁ。
井の中の蛙にならず、
風の吹き抜けるところが広がって、
皆がそのなかで佇めるようになればいいなぁ。

1年前より、2年前より、10年前より、
今、少しはそこに近づいているような
そんな感覚が確かにあります。
きっと少しは頑張れているのかな。
たまには自分を褒めてあげることにします。
これを区切りに、さらに加速していけるように。

一日一日を生きていきましょう。

あなたの存在に心から感謝しています。
あなたがそこに存在してくれていることに価値がある。

これからもどうぞよろしくお願いいたします。