日々の雑感

忍びの里、伊賀の地より。オーガニックとは? 「本物」はどこに?

エネルギー資源について

そろそろこういうことも書かないと、
ということでいつも以上に真面目な硬い話を。

現在の世界のエネルギー・資源の実情と
持続可能な社会を築いていくために...
僕らができることは何か、ということ。

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僕が学生のころから一番真剣に学び、研究してきたのは
エネルギー(というかエントロピー)についてです。
会社員時代は新エネルギーと呼ばれる分野で、
燃料電池を用いた家庭用発電・給湯器の開発に取り組んでいました。

会社を辞め、最終的に農業を始めた動機の背景には、
化石燃料がだんだんと今のように潤沢には使えなくなる局面で
皆がどんな暮らしをしていけば、持続可能な形で
笑って生きていけるのだろうか、という問いがありました。
(もちろんそれだけではなく、もっとトータルな
「生き方」そのものに対する問いもあったわけですが。)

ひとは一度手にした快適な生活を簡単には手放せません。
携帯・スマホ、エアコン、車生活、コンビニ、などなど。
僕らが依存している生活を維持するためには
エネルギー資源の安定供給が不可欠です。

でも、ここ最近の世界の状況を見ていると、
どうやら僕らはその安定供給に関して
決して楽観できない状況が近づいているのかな、
と感じることが多くなってきました。
いくつかの要因が重なっていますが、
鍵になりそうな重要なことを何点か挙げてみます。
(ラフに書きなぐりますので僕より詳しい方が
いらっしゃれば適宜訂正などお願いします。)

シェールオイル採掘に伴う、主要産出国の
エネルギーをめぐるパワーバランスの変化、
主導権争奪戦の激化。
米国(シェールオイル
VSアラブ(既存油田)
VSロシア(シベリア資源)

◎日本の経済低迷~円安進行によって
エネルギー確保が難しくなる可能性。
インフレ抑制のためのバズーガ(量的緩和)が
打たれ続ければ円安はまだまだ進みそうです。
(今は上記争奪戦の影響で一時的に安くなっている)

◎状況判断するためのリテラシーの問題。
自ら状況を認識し、課題を解決する能力の向上が
教育界では強く言われてはいるけれど、なかなか進んでいません。
要は社会全体として、何が起こっても、
慌てず冷静に状況を分析したうえで、
ベストな対応をとれる人材を確保・育成し、
そこに権原移譲できるかどうか、です。

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エネルギーのピークアウトについて
何度も言い続けると、狼少年のように思う人もいますが、
これは「はやりすたり」のことではなく、
いずれ確実に起こる類のこと、
ただしその展開の仕方は不確定で不安定です。

だから具体的にどうなる、というところまで
僕にはなかなか読み切れませんでしたが、
このごろ、そろそろ本気で備えを進めておくに
越したことはない、という想いを強くしています。

今日はそれを説明するための土台・ヒントとなる
情報を少しだけ皆さんに提供できれば、と思います。

そしてその流れの中で、
僕が今、地域社会のなかで、
あるいは農業生産現場で、
進めようとしている事業のヴィジョンと
どのように関係しているのか、
これから徐々に説明してみたいと思います。

まぁ、といって別に何かガラッと
劇的にやることを変えるわけではありません。
むしろ今まで通りのことを、全力で、
より一層やり続けるだけのことです。

ただ、今は、これまでよりもう少し
説明を丁寧にする必要があるな、
そうしなければいけないポジションに
なりつつあるのだな、と
感じるようになったのだと思います。

こころ通うまち
【オーガニックタウン伊賀】
を名実ともに創り上げていくこと。

看板だけにならないよう、それを支える
もろもろの仕組・システムを構築していくこと。

淡々と。

ひととひとをつなぎ、
こととことをつなぐ。

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ちなみに、エネルギー生産の具体的なことについて
皆さんはどれだけのことを知っているでしょうか?
専門家に任せておけば安心、という考えは
原発事故以降、急速に変わってきたと思います。
自分の頭で考えるようになる、それは素晴らしいことです。

ただ同時に、本来居住まいを正して、
集中して耳を傾けるべき「本物の」専門家の話も
真面目に聞けなくなっている雰囲気があるのも事実です。

専門家の話は難しすぎて、
どっちが正しいかなんかわからない、
うん、きっとそうだと思います。
リテラシーを磨け、といっても、
それは一朝一夕でどうにかなるものでもないので。

だけど、どこかで、いつのまにか、

「正しいものが何か自分には分からない」
 →「正しいものはない」または「正しいのは自分だけ」

というような気持を、心の中に忍び込ませていませんか?

駄目ですよ!! 違いますよ!!

でも、皆がそうなってしまえば
愚者が世界を支配し、滅ぼしてしまいます。
「分からないことは分からない」と認識し続ける、
古来より、これがもっとも賢明な姿勢だと言われています。
無知の知」ってやつです。

可能性を常に頭に置いて保留し、
互いに謙虚に常にまなびあうこと。

でも、より正しいもの、「本物」を
どうすれば見分けられるのでしょうか?
これはとっても難しい。
永遠のテーマですね。

僕自身が今、大切にしているのは、
それは、つくり手、語り手の、
「誠実さ」
を嗅ぎ取る能力です。

ひたすら謙虚に、
本物を学ぼう・つくろう、とし続ける人は、
時折間違えることはあっても、
その姿勢さえ保ち続けていれば、
高い確率で「本物」を見出し・創りだすことができます。
時間はかかるかもしれませんが。

凄いものを見ても盲信はしないこと。
だけど本物は存在する、ということを忘れないこと。
こころをひらく。
すると案外、思いもよらぬところに
スゴイ「本物」があったりする。

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地域社会のなかでできること、
生活のなかでできること、
それをこつこつと探し、磨き、実践していく。

あとは日々、自らを律するトレーニング。

ちょっとやそっとの困難くらい
笑顔で乗り越えていけるように。

面倒くさいと言わない。
相手の期待を上回ることをする。
有無を言わさず、はい、やります、で。

人間磨き、何事も一緒ですねぇ。

今日もがんばろう。

 

******************リンク集******************

★まずは状況把握。
眉につばつけながらで構いませんので、まずはこのあたりを読んでみて。

2014年石油価格崩壊は現代文明終焉の始まり - もったいない学会・シフトム

ピークオイルの基本認識

石油の油田発見ピークは1964年頃。
生産のピークは2005-2010年前後。

すでに緩やかな減産となっています。

詳しくは下記リンクまで。

f:id:Kunihiko_Murayama:20150508073532j:plain

崩壊するエネルギー基盤、世界はその先に何を見るのか - もったいない学会・シフトム

伊賀ベジで取り組んできた【1to1トマト】。
エネルギー資源に関する認知向上のための仕掛けづくりです。
一度じっくり見てみてください!

iga-vegetable.jp

★昔のものでちょっと粗いですが、興味のある方に向けて、
僕の修士論文のなかで、エネルギーとエントロピーについて
簡単にまとめたものも紹介しておきます。

修士論文自体は光のエネルギーの質(エントロピー)を
理論的に考えることで、地球温暖化の熱力学モデルを
構築することを目指したものです。)

http://murayama-farm.com/old-kunis/works/thesis/chap1.html