いのちを育む
ふと思ったこと。
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プロとして野菜の生産に関わるようになって
かれこれ十年近くになる。
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農業というのは「いのち」を育み、
その実りをいただく仕事だ。
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ひとつひとつの生命に内在する
【生きようとする力】を見抜き、
それを存分に生かせるよう、
彼らが置かれる環境を整える。
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そのために、生命と物質が織りなす、
「自然」という名の循環を常に観察し、
その仕組みと動きを理解できるよう心を砕き、
己の命を支えるため、
その力を利用する方法を見いだし、実践していく。
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「農」という生業は、自然のなかに身を置き、
いのちを奪い、いのちを育む、
そういうプロセスだからこそ、
生きることのリアリティに触れることができる、
素晴らしい仕事だと思う。
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だけど、本当のところ、人間が携わる仕事で、
そうでない仕事なんてあるのだろうか?
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見た目にだまされないよう。
人という存在といえども、
結局は自然の一部であり続けるのだから。
その事実を見失うような、
凝り固まった見方は投げ捨ててしまおう。
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人は自然そのものだ。
これまでも、これからも。
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いのちを育てること。
植物を育てること、人を育てること、
その間に本質的な違いは、何も、ない。
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いごこちのよい土壌を創り、
空気と水を循環させ、適温、適湿を保ち、
必要な養分をそっと与えながら、
僕らはいのちが伸びゆくのを観察し、悦ぶ。
【生きようとする力】に賭け続ける。
そして、いのちをいただく。
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僕のこのいのちが、
そうして新しいいのちのために
きちんと用いられていくのであれば、
これ以上に幸せなことはない。
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大丈夫。
もう迷わない。
生きていることは、
とてもありがたいことですね。
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みなさん、ともに歩いていきましょう。