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日々の雑感

忍びの里、伊賀の地より。オーガニックとは? 「本物」はどこに?

【オーガニック】をどうとらえるか

有機農業、オーガニックって何?

 

オーガニック業界関係者のなかで、この問いに対して、

真摯にかつシンプルに正面から答えられる人って

どれだけいるだろう?

 

国が決める有機農産物の定義は確かに存在しています。

結構まどろっこしいテクニカルな条文がありますが、

要は、化成肥料や化学合成農薬および遺伝子組換技術を用いず、

自然環境・地域のなかの循環を促進する生産方法により

つくられた農産物、というのが簡単な説明でしょうか。

 

www.maff.go.jp

 

ただ、有機農業に実際に取り組んできた人たち、

あるいはそれを支えてきた数多くの人たちと

実際に会って話をしたり、生活を見ていくと、

この定義が実はかなり表面的なものという印象を受けます。

 

この業界には多種多様、色々な人がいます。

10年近くこの業界でやってきたなかで感じるのは、

一人一人の「想い」がすご~く強いということ。

それぞれが独自の薀蓄や濃いストーリーをしっかり持っている。

いわゆる「こだわり」ってやつですね。

「自然」とか「安全安心」とか「人柄」とか

「もの」自体で勝負するよりも、そっちで押してきます。

その「色」のなかに惹かれるものを感じた人が

信じる相手に自分の食を委ねていく。

 

僕はその多様な感じが業界の一番の「肝」だった気がするので、

国が(というか国際的に)一律に定めた有機の定義には

かなり違和感があるのが正直なところです。

「有機」とか言ってる連中がつくっているものを集めたら

最大公約数的にこういうつくり方だった、

というのを整理して、それをルールにしたという流れ。

でも逆に、そのルールに従わないものは「有機」とは認めない、

って締め出しはじめたわけです。

 

そのこと自体にはもちろん、それなりの意味があります。

「無農薬」とか「安全」とか何とか、

言ったもん勝ちで無法地帯になっていたエリアが

買う側の身にもなってみなさい、ということで

取り締まりが厳しくなってきたということ。

 

リスクは最小にしたい。不快な想いはしたくない。

だから国や権威にしっかり取り締まりをしてもらう、

そういうことを求める世の中のトレンドに

ぴったり寄り添った流れです。

 

「無農薬」とか「安全」とか「環境に優しい」とか

全く根拠もないまま、売るために必死で声高に訴える、

本音のところは自分の金儲けが最優先な少数の人たちを

(そんな当の本人たちは真面目に思っているので無自覚)

取り締まっておかないと場が荒れますもんね。

 

ただ…。

 

そうして規格に委ねてブランド化をはかる有機農産物に

魅力があるかと言えば、何かあんまりパッとしない。

個人的にはそういう印象が強いのです。

 

もともとこの業界の主流といえば、

「もの」だけの無機質な世界に食い足りない人が、

人のぬくもりが感じられる産直の有機野菜を選ぶ、

という背景があり、それがそのまま政治運動にも繋がっていた。

大量生産・大量販売で安心して買える製品よりも、

何かに共鳴し、自分の感情や感覚にスイッチが入る、

というところが、何よりも「売り」だったんじゃないかな、と。

 

つくる側の日々の都合とか技術的な面で

有機農産物と認められるかどうかということと、

本来有機農業に求められていた社会的期待とは

必ずしも同じところにあった訳じゃないみたい。

 

でも、「もの」ありき、に有機の業界の多くの人が流され、

想いよりも技術論が中心に語られるようになり、

つくり手の「色」はあまり関係なくなってきました。

 

一方、直売所の広がり等の影響も後押しするのか、

業界の人が慣行栽培と呼ぶ、有機以外の農法に取り組む農家にも、

人と人が直接つながる販売スタイルがぐっと増えました。

 

加えて、技術面でも農薬の安全性が格段に高まったり、

省エネ・省コストのため化成肥料使用がどんどん減らされていて、

本来有機の専売特許だった、「環境にやさしい」のキーワードは

もはや人を惑わせるややこしいテーマとなってきているのです。

 

有機・非有機の業界の垣根は、技術的にも販売経路的にも

もうほとんどなくなってきたと言えるでしょう。

 

ちなみに、このあたりを最初にパブリックに明確に言ってくれたのは

茨城で農業経営をされている久松さんだと思います。 

www.amazon.co.jp

 

じゃあ、これからの有機、オーガニックはどこへいくのか?

 

シンプルに言えば

 

A.これまでの生産方式を継承し技術を向上して生産性や安定供給力を高める

 

B.これまでの有機の取り組みの社会的な意味を見直しそれを再構築していく

 

ということの2本立てなのではないかと思っています。

別の言い方で言えば、ビジネスっぽいことvs政治っぽいこと。

「自分」が勝ちに行くのか、「みんな」で共栄するのか。

キーワードとしてはこんな感じ。

 

A. テクノロジー/ビジネス  → 秩序・シャープ

 

B. エシカル/文化      → カオス(混沌)・多様

 

どちらもとても大切ですが、できれば後者Bを優先したいです。

ビジネスのほうが論理がシンプルで、

現代社会においては間口が広いのに対し、

後者は日本人がこれからまだまだ

育てていかなきゃいけない感覚だと思うからです。

 

でもそれは逆風の中にあることは間違いありません。

大学で文系要らない、教養いらない、ってなっているのも

まあ同じようなトレンドですからね~。

 

ただ、世界各国の人たちと、

ものやカネや武力で交流するよりも、

話し合いのなかで心を通わすためには、 

ベテラン有機農業者らが大切にしてきた、

人と人とのつながり、「市民感覚」を

改めて育てることが大切なのじゃないかな、と。

 

グローバルに一番近いのは、

最もローカルな、目の前の人たちと

きちんとコミュニケーションを成立させ

ともに生活をつくっていく感覚なのではないか、

そんな風に思うんです。

 

明後日は伊賀有機農業推進協議会の総会。

 6年に渡ってオーガニックとは何かを共にみつめ、

それぞれの闘いを続けてきた地域の様々な方に

片っ端から電話をかけながら、

つらつらと思うことを改めて整理してみました。

 

さぁ、みんなでこれからどんな地域を創っていこう?

 

いざ。

 

平成27年度 定例総会 - 伊賀有機農業推進協議会

 

 

少し前のエントリー。

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伊有協の活動実績報告の例。

 

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